2011年になるのですか、この映画が公開されて、もうそんなになるんですね。
このブログでは、この映画の主題歌になったくるりの曲を紹介していますが、映画はまだでした。
とても面白かったですよ。
子供を撮らせたら本当にうまいですよ。
日本の小学生撮らせたら、本当にリアリズムで、うまいですよ。
よく見てますよ。
映画監督だからよく見るのは当たり前なんですけど、見てない人がほとんどですから。
対象が何であれ、観察できない人間は視覚芸術に携わるべからずと思いますよ。
是枝監督の映画はほとんど見てます。
海街ダイアリー以外は。
是枝さんはドキュメンタリーから始まっている方ですので、現実の姿というものを映し出すのがうまいのかもしれません。
河瀬直美と似てますね。
そういえば二人ともフランス人に愛されてますね。
フランス映画っぽいですもんね。
そういう、現実を描き、かつファンタジーであるという。
是枝さんの受賞の様子も、河瀬さんの受賞の様子も、その後しばし庶民の皆さんにものすごく嫌われて叩かれたりして、しかも、是枝さんは今回、日本国の代表たる方から祝辞ももらえないという事態になっていますね。
みんな、映画はエンターテイメントなんですよ。
何を期待してるんですか?
どのような内容の映画だろうと、作って、赤いカーペットに登ればオシャレするんですよ。
どのような主義主張があるにしろ、映画は「娯楽芸術」になるんです。
そのような映画ではありません、とあらかじめ主張している映画なら、烈しく文句言われようが嫌われようがそれもまた醍醐味でしょうよ。
私もね、実は私も、そういう現実を代弁する作品というものに期待したりしてしまうことがあるんです。
先日、かかりつけの医院で順番を待っていた時のことです。
近所に児童養護施設があるもんですから、その日も、集団予防接種として10名ほどの子供たちが待合室にいました。
みんな元気でワイワイとふざけてましたね、正直うるさいほど、楽しそうでしたよ。
いくら注射と言っても、非日常的なお出かけはあまりない子供たちですから。
注射が終わって、みんな口々に痛かっただの何だの、きゃあきゃあやってたんですよ。
で、待合室にはテレビがあって、ワイドショーが流されてました。
そしたら、是枝さんのカンヌの授賞式が放送されて、
そのついでに過去の作品の紹介があって、
「誰も知らない」
が紹介されたんですよ。
児童書後施設に預けられている、もしくはそこが18歳までの居場所である、生活の選択の余地がない子供たちが、見てたわけですよ。
一瞬で、水を打ったように待合室が静まり返りましたよ。
私、話作ったりしてません。
その静まり返った待合室では、続けてまた、レッドカーペットできらめく監督とスタッフたちの映像が流れ、祝福のコメントを垂れ流す映像が続くんですよ。
私は自分に言い聞かせました、これはエンターテイメントなんだと。
映画はおしなべて誰かのものではなく、監督のものであり、娯楽芸術なのだと。
映画「奇跡」に戻りますが、
子供に限らず、人は誰しも大なり小なり、問題を抱えて生きてるわけですよ。
生きづらいんですよ、生き物の世界は。
でも、子供達はまるで、風に乗って跳ぶタンポポの種のように自由になれる時があるのです。
だからこそ、是枝さんは子供を撮るんじゃないですか。
ペドフィリアの犯罪者が子供を餌食にするたび、あれは自由な魂を貪っているのだなと思う。
確実に自分から失われた最高のものを貪っているのだなと。
映画「奇跡」では、内田伽羅さんが出てます。
あの子、すごく戸惑った顔するのがうまいですね。
頭が良いから、周りの人たちの気持ちが全部分かっちゃってたんじゃないすか。
女の子ってああですよ。
次のブログでも書きますが、映画「あん」でも、出てますけど、彼女はもう人前に出ない方が幸せなんじゃないかと思います。
電車で旅したりする映画で、電車がキーポイントな映画なわけなんですが、私は電車が苦手で。
酔いやすいから、いい思い出がなくてね。
移動や旅、ってものがもう少しいいものだったら楽しいだろうなと、この映画を見て思います。
是枝監督の作品の中でこの映画が一番好きかもしれません。
そして言えるのは、ぬるい映画をもう作らんといて、ということです。
この奇跡も、子供たちのおかげでファンシーですが、子供を持つ親だったら、あいたた、と思うところばかりですよ。