1月に放送されたものを録画しておき、先日見ました。
どうやら、昨夜再放送だったようです。
この番組のプロヂューサーさん、ディレクターさん、あっぱれでしたね。
とても面白くよくできていました。
まだNHKのサイトからこの番組の特設ページが見られますから、詳細はそちらへどうぞ。
出演者が良かったですね。人選が良かったかと。
芸人のバービーさん。バービー、先日燃えよデブゴンTOKYO MISSONを見たとき、人魚の格好でちょっとだけ登場したんですけど、そのお姿を見て彼女に対する見方が変わりましたよ。彼女とてもセンスある。イッテQ!の温泉シリーズが好きでよく見てましたけど、そこではちょっとあのメンバーの中では霞んでたんですけど、なるほど、他のメンバーとは素養が異なってたんですね。
今時の若い女性の感覚をよく代弁していらした。
歴史学者の加藤陽子さん。伊藤野枝の本を紹介されてて。さすが教養高く品のあるお方だったんですが、今まさに東大という組織の中で奮闘してらっしゃる。伊藤野枝はよく存じていたつもりでしたが、あらめて先人を敬わんとならんと鼻息荒くなりましたよ。
女であることを主張したら殺される時代があったことを今の女たちは忘れてはならん。
えー、今そんなことないでしょ?平等だよね?世界の中でもそうだよね?とか、言ってんじゃないよ。
歴史を正しく認識するって、どなたも大事だと思いますよね?
こんな風にして女は戦ってきたよ!という内容。
翻訳家の鴻巣友季子さん。アトウッドの侍女の物語を紹介。私この本は20代の頃読んだんですね。SFでもなく、今現在もこんな感じですよね、女の体というのはこういう存在にされてんです。私は代理母制度は本当にやめてもらいたい。いかなる理由でも、生殖に関わる科学はその利用を慎重にしてもらいたいと、ずっと思ってます。それと、自分の体のことは自分で決めるというスタンスを決して失ってはいけないと思う。
そしてこのような本を翻訳するのもやはり女性であって欲しいと思う。作者も女性だし。
同じ女の肉体を持つ者にとって、それを道具とされる恐怖を男性でも語れるだろうが、語って欲しくもない。
教育学者の上間陽子さん。彼女の活動は存じ上げていましたが、お名前はここで知りました。
彼女はハーマンの心的外傷と回復。この本はトラウマの治療に関してで、私も今読み始めたのですが、1999年刊行ですが、途中で増補版が出ています。2011年には訂正もあるようでしたので、できるだけ新しい本を読むといいかもしれません。
上間さんは沖縄を拠点とし、大学で教鞭をとる傍、望まぬ妊娠などに苦しむ少女たちを守るシェルターを運営しており、その一言一言が現場の血の滲むような事実を、隠されている事実を明らかにしていて。
他の方々よりもはるかにおっとりとゆっくりとした口調でじれったいんだけど、言ってる内容が強烈で、他の登壇者の皆さんを圧倒してゆく。この方々以外は主に論壇で戦っているけれど、この方は現場。
そしてこの方がおっしゃっていた、階級について。これがすごく響いた。さすがの上野氏にも響いていた様子だった。
私もフェミニズムを考えるとき、いつもこの階級ということが引っかかっていた。
そして上野千鶴子氏はもう言わずもがな。
最前線の古参兵。
千鶴子氏が幾度かおっしゃっていた、押し戻し、という言葉。これはフェミニストは今まだ非フェミニズム(うまく言えないけど、ミゾジニーやホモソーシャル)からフェミニズムへの圧力を押し戻していかなければいけない、ということ。
気を抜いたらあっという間に元に戻ってしまう。
東京大学名誉教授という立場にあられてもまだ戦場の最前線で指揮官やってます、という。
千鶴子氏が推薦したのがセジウィック「男同志の絆」です。これは必読。
前者の方々が割と直接的にフェミニズムや女の状況を伝える名著を教えてくださったのに対し、え、なんで男同志?と思ったんですが、これは、フェミニズムの置かれている状況、男女ともに、このような状況に置かれている理由が書かれていると思うんです。
千鶴子氏は、フェミニズムのその先へを垣間見せてくれたような。
こんなどすこい!な方々をまとめる安部みちこさんというアナウンサーなんですが、この方のコメントが意外とすごいんですよ。
こんなツワモノのメンツに向かって、フェミニズム?えー、難しくって、個人で実践するのはちょっと?難しい?えー?!
みたいなスタンスなんですよ。よくそんなこと言えるな、と思ったけど、これが、大方の女子の感想なんですよね。
それを言わせるために配置されたのかもしれんのですが、そんな感想いらんです。
私は、フェミニストの大先輩方に敬意を感じ、自分を力づけるために見てたんですけど、この、なんだ、あたふたした感じのジェスチャーだとか、わかんないからという思考停止なんか目にしたくなかったんですよ。
でも、これが現実なんだなと。
そしてですね、この現実がつまり階級の問題になるんです。
例えば、こんな風に解釈すると、
急流に流されて溺れる人がいる。息も絶え絶えで死にかけてる。でも、必死すぎて自分が死にかけてるってことすら考えられないし、気がつかないし、客観できないぐらい追い詰められてる人がいる。
それを助けるには、助ける人が安全な岸辺にいて、助けられる装置を持ってないといけない。
絶対に自分は溺れない命綱がある人たちの階級とはつまり、本日の登壇者です。阿部さんを除いて。(いや阿部さんはそういうフリをしてるだけかもしれないけど)
自分自身を奮い立たせ、働き、自分を信じ、お金を稼ぎ、自分で自分を養い、自分自身で人生をコントロールできる人たちと、そうでない人たち。
そもそも貧困からは縁遠く、他人に自分の人生を任せなくても良かった人たちとそうでなかった人たちの間には大きな隔たりがあって、それが世間でいう階級なんです。
あんたたち偉そうなこと言ってるけど、そもそも、食べるに困ったことない人が何言ってんだ、みたいなところね。
でも、助けて欲しい時には、助けられる人に頼まないとならないよね。
今回紹介された本も、決して読みやすくないです。
本を読み慣れてないと読めないし、意味わかんないと思います。
名著ですが誰でも読んで理解できるかというとそうでもありません。
これも階級です。
こういうのがもうね、疲れちゃうんでね。
真剣だと。
でも、先輩方は、こっちだよ、こういうやり方があるよ、こういう思いがあるよ、負けんな、負けなかった先に快楽があるんだよ、と言ってくれてる気がする。
誰もが千鶴子指揮官にはなれんよ。
加藤先生は歴史から学ぶことで未来を見つめる知力をくれる、上間先生は傷ついた少女たちの命を倒れたその現場で助けようと救命し、鴻巣さんはよその国じゃこんなんなってるよ、あたしたちは一人じゃないよ、と教えてくれる。
いい番組でしたね。
私は女子大学を出たんですが、そこではトップは男性でした。
カリキュラムだとか、大事なこと決めるのは男。
本来は女性の自立のために明治時代のフェミニスト大先輩たちが作り上げた砦が、いつの間にかおっさんたちのものになってて、いつの間にか、女の子には難しいことを教えてあげるよ、みたいなところになってて、教えてくれるならまだしも、学生のこと、本当に存在してるって認識があったのでしょうかと思うほど。フェミニズムのフェもなかったですよ。
在学時代からそれは本当、嫌だったです。
汚い言葉使ってしまいたくなるほどです。
今でもそうなんでしょうか。
そういう悪魔みたいなのは脈々と受け継がれていると思います。
それが私の思い込みで、本当はそうじゃないことを、祈っています。
そうじゃないんだったらちゃんと見せてください。
最近は同性婚について政府の皆さん方始めお騒がせになっていますが、そもそも、女は救われてますか。
苦しみ続けた者が声を上げるってそんなダメなことですか。
どっちも平等っていうけれど、苦しんでる人が声を上げるのは平等とかじゃないですよ。
と、疲れるので。
私は私の幸せを見つける旅を続けます。
それは決して屈することではなく。
心の友と一緒に生きるのです。
名著を読みながら行くのです。